小さなガス灯が窓際でゆれている。

朝に成り際の夜。

 

 

やさしいてのひら >>

 

 

兄さんが小さく身じろぎをした。

夜中、兄さんのベッドのそばで座るのはいつのまにかボクの日課になった。

ボクでも横になれそうなベッドがあれば、初めはそこに入るし、夜明けには戻るんだけど。

兄さんが寝入っている間は、兄さんのそばで目を閉じる。

「・・・・・・・・・ル」

夢を、見ているのかな。

もうすぐ、夜が明けるから、ベッドに戻った方がいいかもしれない。

そう思った瞬間。

不意に兄さんが目を開けた。

 

寝ぼけ眼で、窓際のガス灯を眩しそうにしたから、消しておかなかったことを悔やんだ。

「兄さん」

兄さんは返事をしない。まだ半分寝てるんだ。この分なら大丈夫かも。

枕に散った髪がくすぐったそうだった。それを払うついでに、ゆっくりと髪をなでてみる。

昔、そうしたように。・・・そうされたように。

「まだ、朝までは間があるからもう少し寝なよ」

それにはかすかに頷いたみたいだった。

「アル」

ほとんど、声にならなかったけど、ボクを呼んだのは解った。

ほんの少し顔を近づけたら兄さんが笑った。

あんまり綺麗に笑うから、ボクは戸惑って、でも。

「お前の手、気持ちいいな」

そう、はっきりと。

言った兄さんの声を、ボクはたぶん一生忘れないと思う。

兄さんがくれる、なにもかもを忘れたりなんかしないけど。

 

その言葉はこの胸に。魂に焼き付けておく。

 

うとうとと、まどろむ兄さんの手が不意にボクの冷たいはずの手をつかむ。

夢見心地で、そうしてるのはわかるけど、ボクはその手を手放せない。

手放さない。

このひとの、やさしすぎる手を。守ろうと思うから。

 

たとえ夢の中でさえも。

 

 

 

 

ご、ごめんなさい!ごめんなさい!夢見ごこちなのはこのわたしですー(T_T)
でもでも、やはり兄さんが寝ている間はアルは見守っているだろうと!
そんな布団かけられて、兄さんに添い寝されてる(萌えだけど 笑)だけじゃないんだと!
いやーでもあの回のアニメにはやられたわ(結局そこか 笑)

2003.12.27 礼