目が、覚めたら。

あたたかなからだ。

つきあかりの差し込むやわらかなベッドの上。

体を丸めて。

 

「・・・・兄さん?」

 

 

 

 

ルナ//ルナ

 

 

 

 

 

母さんが亡くなってから、ボクたちは努めてなんでもない風を装っていた。

悲しめば、悲しむほど。

すべてを暗闇に持っていかれそうになるから。

だから

(取り戻そう)

母さんを。

そう言った兄さんの言葉は、一筋のひかりのように。

ボクの心に差し込んで。

 

(ふたりだけのひみつ)

 

ふたりだけの、ひとすじのひかり。

そのひかりを支えにすれば、悲しみに立ち向かうことができた。

真っ暗な夜も。月明かりがあるから歩けるように。

 

 

 

「そろそろ寝るか」

父さんの本をむさぼるように読んでいた兄さんが、不意に顔を上げてそう言った。

「あ、うん」

母さんがいなくなって以来、ボクの生活の管理を信条にしているらしい兄さんは、どれだけ錬金術の勉強にのめりこんでても一定の時間がくると、こうやってピリオドを打つ。

何度母さんに怒られても、往生際悪く本にかじりついてた兄さんなのに。

本にしおりをはさんで後はそのままに、立ち上がった兄さんがランプを持つ。

その後をついて歩きながら、兄さんがこけんなよ。とか言う。

暗闇の中、月明かりとランプのひかり。それと兄さんを頼りに二階の自分たちの部屋まで。

隣同士のボクらの部屋、扉を閉めるところまで兄さんはボクを見送る。

「おやすみ、アル」

「うん、おやすみ。兄さん」

兄さんはちょっと笑ってドアを閉める。それからボクはベッドにもぐりこむ。

兄さんに気にかけられるばかりの自分をちょっと悲しく思いながら。

 

だから。

 

目が覚めたとき。

兄さんが横にいてひどく嬉しさがこみ上げた。

 

「兄さん?」

呼びかけて、短い金色の髪を撫でたら、一瞬だけ顔をしかめた。

慌てて手をどかしたけどそんな必要はなくって、兄さんはくうくう息を立てて、ウィンリーのとこのデンみたいに寝てる。

静か過ぎる夜に突然寂しくなったり、悲しい夢を見て、ボクが兄さんのベッドにもぐりこむことは何度かあったけど、兄さんがボクのベッドにもぐりこんでくるのは、滅多にない。

驚いてすっかり目の覚めたボクは、月明かりの下、飽きることなく兄さんの顔を眺めてた。

 

兄さん。

ボクを守ってくれるのは嬉しいけど、ボクだって兄さんを守ってあげたいんだよ。

 

そう思った僕に答えたわけではないんだろうけど、兄さんがごろんと転がってボクの喉もとに頭を寄せた。

さらさらの髪があごのとこに触れて、ちょっとくすぐったくてちょっと気持ちいい。

(ぬっくいや・・・)

兄さんのからだは、すごくすごくあたたかくてボクはまた嬉しくなる。

へへって笑ってみたら、兄さんがまたもぞもぞ動いてさらにボクの方へ身を寄せる。

何の夢を見てるのか、にへっと笑った兄さんの表情が、ボクの好きな笑い方で。

兄さんもボクをあたたかいと思ってくれてるのかなって思う。

うん、そうだったらいいんだけど。

 

やわらかな月明かり、やわらかなベッドの中でボクは兄さんを抱き寄せて。

その髪に頬を寄せて、目を閉じた。

たとえ暗闇でも、兄さんとふたりなら何も怖くないんだって知っていて。

だって兄さんはボクのひかり、ボクのみちしるべだから。

 

明日、朝起きたらひとつわがままを言ってみようか。

今日も明日もいっしょに寝てよって。

明後日も明々後日もずっと。

 

 

そしていつか、ボクも兄さんのひかりになれたらいい。

いつか、ボクも兄さんを守れたらいい。

 

 

 

 

最近甘いのとかポエムに抵抗がなくなってきました!!!(笑)
危険です危険。いい年してそんなの書いてる場合かよ!
てかいい年だから夢を見てしまうのか(笑)

鎧アルが好きです。でも人型(ドラ○もんか)もいい・・・・(←なんでもいいらしい 笑)